今月のコラム

2022/8/1

長引く猛暑から子どもを守る! 
小学生までの熱中症対策

今年の夏も、うだるような暑さが続いていますね。猛暑が続くと心配になってくるのが「子どもの熱中症」です。体が小さく成長途上にある子どもは、強い日差しが降り注ぐ屋外だけでなく、川やプールなどの水場、日陰や室内で熱中症になってしまうことも少なくありません。では、いったいどのように対策をしたらよいのでしょうか? 注意点は…? 日々の暮らしのなかで意識したい、「子どもを守る熱中症対策」。そのポイントを、年齢別に紹介します!

もくじ

「子どもの熱中症」って、どんな特徴があるの?

大人でも危険な熱中症。体が小さく未熟な子どもの場合は、進行が早く悪化しやすいなどの特徴があり、注意を怠ると深刻な状況に陥ることもあります。まずは「子どもの熱中症にどのような特徴があるのか」「どんな様子に注意すればよいか」を確認しておきましょう。

特徴① 子どもは体温が高く、脱水症になりやすい!

子どもは大人に比べて平均体温が高めです。さらに、「汗をかく機能が未発達で、暑さを感じてから汗をかき体温が下がるまで時間がかかる」「エネルギー代謝が活発で常に多くの水分を消費している」などの特徴も。「のどが渇いた」と言い出してから水分補給をしたのでは遅いことも多いので、大人以上にこまめに水分補給を促しましょう。

特徴② 不調を説明することができず、我慢して悪化させてしまいがち

未就学児や小学校低学年の子どもは、体の調子が悪いということをうまく説明できずにそのまま我慢してしまいがち…。また、小学校高学年の子どもは、「恥ずかしい」「迷惑をかけてしまう」などの理由で不調を隠そうとしてしまうことも! 大人がよく様子を見て、いちはやく変化を察知することが熱中症予防につながります。

特徴③ スポーツ時の発症や重症化例が多い

熱中症は、スポーツ時に発症することが多いと言われています。公園遊びや、運動系の習い事、部活などの際、ついつい夢中になって水分補給を忘れてしまい、気がついたら動けなくなっていた…なんてことも。暑い日にスポーツをする場合は、例え短時間であってもしっかりと対策を!

どんな状態に注意すればいいの?

体温が38℃を超えた場合、汗が出なくなってきた場合、おしっこが少なくなってきた場合は要注意。体温が高まり水分が不足している「熱中症を疑うべき状況」だと考えられます。食欲がない、元気がない、あくびが多いなどのサインも見逃さないで。「普段とちょっと違うな」、その気付きが大切!

年齢別! 熱中症の注意点とその対策

では、具体的にはどのような対策をすればよいのでしょうか? 続いて、年齢別の注意点や対策法について紹介します!

未就学児(0~5歳)

ポイント

未就学児は、地面から体や顔までの距離が近く、アスファルトの照り返しを直に受けてしまいがち。「大人よりも3~4℃高い温度のなかで暮らしている」というデータもあるほどです。過酷な環境であるにもかかわらず自分で熱中症対策ができないので、大人がしっかりと対策をしてあげることが大切!

対策は?

20~30分に1回ぐらいの間隔で、こまめに飲み物を飲ませてあげて。ポイントは、「大人から声を掛けて飲ませるようにする」ということ。子どものタイミングに任せていたために水分不足に陥ってしまった…なんてことにならないようにご注意を。また、「例えどんなに短時間であっても、絶対に子どもだけを家や車に置いていかない」ということも徹底して意識したいところです。もちろん、帽子などの対策もお忘れなく。

小学校低学年(6~9歳)

ポイント

大人から離れて活動することが増えてくる小学校低学年。保護者が四六時中付き添ってケアするわけにはいかなくなってくるので、支援をするという意識に切り替えていくことが大切です。自分で意識し対策できるよう、普段から熱中症対策について親子でよく話し合って!

対策は?

「外出時は水筒を持たせる」「帽子をかぶる、日傘をさすなどを習慣化させる」「食事や睡眠をしっかりとるよう促す」「気分が悪い、体がほてる、めまいがするなどの変化があったら、我慢せずにすぐに大人に助けを求めるように言う」など、「持たせる」「言い聞かせる」の働きかけを積極的に行うとGood! また、「水泳時にラッシュガード(日焼け止め効果がある乾きやすい上着)を持たせる・着せる」のもおすすめ。

小学校高学年(10~12歳)

ポイント

クラブ活動などが活発になり、スポーツ時の熱中症が増える年代。命に関わるような熱中症もこの辺りから増えると言われています。低学年時以上に、「持たせる」「言い聞かせる」の働きかけを意識して!

対策は?

長時間、スポーツや屋外の活動にのめり込むことも多いため、帽子、水筒だけでなく、「塩タブレット、クールタオル、クールリング(首掛けタイプの冷却グッズ)を用意する」など複数の対策を講じておくと安心です。屋外だけでなく、体育館やプレハブの部活棟など高温多湿の屋内で活動するときも、熱中症対策を忘れずに。また、スポーツ教室などは一緒に見学するなどして環境の確認を。空調の使用状況や水分補給の頻度、雰囲気などをチェックしておくとよいですよ。

なお、熱中症予防のために、「暑いところに出かける前に塩分を摂取する」「あらかじめ経口補水液を飲んでおく」といった行動は効果がありません。汗をかいていない状態で塩分を摂ると塩分の摂りすぎになってしまう可能性もありますので、あくまでも「熱中症リスクのある汗ばむ環境にいるとき」に「こまめ」に補給するようにしましょうね。

それでも熱中症になってしまったら…?

さまざまな対策を行っても、なるときは熱中症になってしまうもの。めまい、頭痛、吐き気、高体温など熱中症が疑われる症状があるときは、速やかに涼しい場所に移し、衣服を緩める、水分や塩分を摂らせる、首やわきの下に保冷剤を当てるなどして休ませましょう。

意識がはっきりしないとき、けいれんがあるときはためらわずに救急車を! 「そうは言っても、救急車を呼ぶレベルかわからない」、そんなときは、かかりつけの病院に電話して指示を仰ぐとよいですよ。土日祝日や夜間の場合は「#8000(こども医療でんわ相談)」にお電話を。お住まいの都道府県の相談窓口に電話が自動転送され、小児科医師・看護師から子どもの症状に応じた対処の仕方や受診する病院などのアドバイスを受けられます。
(詳細は、https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html ※お問い合わせは各都道府県の担当部署へ)

熱中症から身を守るには、親子で意識を高めることが大切! 自分で対策ができるよう、普段から家族でよく話し合うようにしてみてくださいね。

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